とんかつがうまい啄木鳥いま穿つ/カント

遠くでキツツキが木を穿っている音がする。否、あれは木を穿っているのではない。二度とない今という時間を穿っているのだ。その今を、私はこうしてトンカツを食べて過ごしている。非常にうまいトンカツである。今うまいと感じているのが他の誰でもないこの私であることは疑いようのない事実だ。トンカツがうまい、ゆえに私はある。