2016-01-01から1年間の記事一覧

無と遊べ泣く甲斐などないかくなべそ/アトム

今、ある単語を画像検索したら超怖いのが出てきた。どれくらい怖いかっていうと、とにかく見ただけで呪われそうというか悪い夢を見ないではいられないというか百聞は一見にしかずと申しますのでその検索語をお知らせしますとって書たところで郵便ですって来…

レラ飽きてファファ吹く叩くファファ不敵/アラレ

楽しい名作、と思って『雨に唄えば』を観たら残酷な話じゃないですか。サイレント映画で美人と憧れられた女優が、トーキーになったとたん声が変だって笑われる。そりゃあ努力が足りなかったかもしれないし性格に問題ありそうだけど、声は生まれつきだし契約…

浮く悟飯手強くなく泣くわ悟天は/悟空

落伍とはポケモンのGOの肯定である。スマートフォンを使わずにポケモンGOができる人は俳人、または歌人と呼ばれます。十七音のポケモンを愛するのが俳人、三十一音のポケモンなら何匹でも欲しがるのが歌人です。俳人は句会で、歌人は歌会で、集めたポケ…

丸ぶるが三角に肉感下がる/ブルマ

赤く青くひかり狂へば弧を描きて小さきあたま倒るる歳晩/米川千嘉子、って短歌が『たましひに着る服なくて』にありました。テレビアニメ「ポケットモンスター」騒動、と詞書があります。テレビを見るときは部屋を明るくして離れて、ってテロップが出るよう…

炉こっぴどく焦がしゃ事故じゃ死が国土/ピッコロ

A・Sは誰のイニシャルAsは砒素A・Sは誰のイニシャル/穂村弘、って短歌を思い出したのは『ダークナイト』を観たからです。スーツの力を借りてるバットマンに生身で負けないジョーカーはたしかに格好いいが、ツイッターで悪さ自慢してる馬鹿みたいでも…

暑気払いにて鋤焼す手に入らば/虚子

「やい、供養にゃ行くように」行くよ、憂い供養、行く用意苦よう「作ったカツ、食ったか」食ってないし作ってないしっ「離婚し買い物がなしかロリコン歯科医、物悲しかろ」あ、畳文でしたか、というか自分がおしゃれじゃないのは裸みたいな女の子ばかり見て…

異性冴ゆ松と干潟がひとつ繭/犀星

冴ゆるは冬。干潟は春。繭は夏。使うだけなら歳時記を見ればいいけど重ねないためには覚えないといけない、季語。揚げパンってドーナツじゃないのかな、焼きドーナツはパンだろ、と思って、季語のない俳句、季語のある川柳ってそういうことか、と思う。

真相も乙なりと独り夏思う/孫子

短歌ヴァーサス第九号の表紙の人を早坂類と思う十年 #短歌歴短歌

営利良し馬は走るし母舞うし/頼家

皆も当時は源氏派。奈良、ここに今日から居ず、平家なら個々に京から伊豆へ行け。不屈歌えよ、腹痛絶えよ。魔法ならスマホ唸らす。海は湖は見ず。辛子蓮根から試練来ん。指揮官置けない葬式、棺桶ないそう。息したい絞殺死体、孵卵したい遺棄死体、考察した…

無さ俺のいじましい意志マジ祈れ/治虫

真のあと無問う乱心のアトムとウラン。液体煮え気体に。昇華というのは沸騰すんでしょうか、というのはフッと失すんで。冴えないと支えないとさ。晩に落としたら一番に音したライチ。食わないプリン掬わないプリンス。魔法かスマホ浮かす。医師は孔雀か意志…

肉の大まかなの嫌や胃の仲間/大乃国

このポン酢なら餃子がいくつでも食べられる、みたいなCMを見て、餃子一個で満足できるポン酢のほうが胃腸にも財布にも優しいよなと思う。カロリー大量かロリータ衣料。まず言うまい不味い美味い。

自負の余地少ない子まま恋なくす/千代の富士

ラーメン屋みたくジャンプに名前を書く何だお前緊張してるのか/迂回『稀風社の貢献』より。そうか名前を書くのは緊張だったのか。平和ボケしてると島を盗まれるぞ、みたいな緊張を外注できるのがきっと高級レストランなんだろう。第一回石井僚一短歌賞はこ…

あの雨と稲妻やまずナイトメア/ノア

前例のある回文だけど名前を付けると五七五になるし面白みが増すかな、と。作者名で増す面白みって何なんだろ。作者名が作品の評価に影響しないうちが新人なのか。そういえば、〈第一回石井僚一短歌賞は年齢歌歴受賞歴など不問です。「新人賞を受賞したけれ…

黒添いて来るかアネモネ明るくて/五十六

十数年わたしはこんなひきつったもようを顔と呼んでいたのか/直泰『稀風社の貢献』より。鏡を見てそう思ったなら怖いけど、壁の染みが顔に見えなくなったのであればむしろ呪いが解けたんだろう。置かれる場所や読み手の気分で意味が全く違ってしまう短歌っ…

数膳は誤差あるも盛る朝ごはん/ゼウス

鉄工所、もうなにを作っているのか忘れてしまって、かなり可愛い/広瀬ボルオ『稀風社の貢献』より。悲しい楽しい寂しいみたいな言葉は使わないほうがいいらしいけど、この可愛いは効いてる気がする。工場萌えというよりも、進化しすぎた生命を見る神の視点…

巣とナタデココら震える鞦韆で/タナトス

情田:でしょう。この、浅いところでもがいてる必死さがねえ。 石井:でも本気なんですよ。 情田:それは僕もわかるんですよ。でもそれに賞をっていうのは、ちょっと危なくないかなっていう。 石井:ほんと危ないんですよ。 『稀風社の貢献』より。自分が三…

撮る家電カメラときどき虎めかん/デカルト

また来やがった、いい加減にしてほしいな、そりゃあ最初は斬新だったんだろうけどとっくに形骸化してんだよ、いいか、オレは追い詰められた犯人の心象の具現化なんだ、それを表面だけ真似るから笑われんだぞ、いやしかしそうは言っても、問題が解決すると青…

盗る馬鹿は余計敵来て行けよ墓/バルト

借金を返すために盗んだ、盗んだ金は温泉旅行に使った、ってとことん計画性のない犯人である。計画的な犯罪のほうが悪質だとは思うが刑が重くなるのは疑問だ。計画性が高いほど減刑されるようにすれば思慮深い人が増えて犯罪が減るんではあるまいか。幸せを…

する減塩やめた飲み会神のためやん/エンゲルス

やばい、味なくなってきた。捨てられる。ペッ、て道に吐き捨てられる。早う忘れたいと思いつつ何べんも噛みしめてまう記憶みたいに、どないしたらなれるんやろ。捨てられたら踏んづけられて溜め息つかれてどっかの角になすりつけられる。嫌や。ずりずりずり…

透くるまで見る手一日凍てる身で/マルクス

転職しようかな、と手相見は思った。 @ はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢつと手を見る/石川啄木

はっ馬鹿な様子かもモカ吸う夜中/バッハ

忘れたんか。香り高いて目立つとこに書いたあるくせに原材料欄に香料てあるコーヒー見てアホちゃうかていっしょに笑うたやないか。せやけどまあ香りが高いほうがおいしいんは事実やさかい、砂糖やら牛乳やらとおんなじか言うて、できたら入れてほしゅうない…

知己もない名もない親しい菜もないな/茂吉

おれはだめな男だ、というのが夫の口癖でした。そんなことないわよ、と慰めながら、あんたがだめなのは男としてじゃない、人間としてだ、とわたしは思っていました。だから余命一年と宣告されたときは、うれしかった。そんなに嫌なら別れればいいじゃないか…

字読みなば俺かの夜々の枯れ尾花/三四二

祖父が三四郎、父が勇二だからと知って三四二が不思議な名前でなくなったことを326は残念に思うだろうか。一十百と書いてモトカズと読ませる名前を新聞に見つけたら百十一でカズトモのほうが自然な感じがするけど尻上がりとか末広がりとかいう意味が込め…

鬱金手に死なば子守りも小咄に/天功

宝石店のようなその美術館に、展示されているのは紐だった。長い紐。細い紐。鮮やかな紐。滑らかな紐。紐こそ世界を解く鍵なのです、と館長は私の頭に手を伸ばす。ほこりでもついてたかなと思うまもなくするするするするするするするするするするするするす…