お疲れだ白墨つつく僕は誰/カツオ

たまには予習でもしようかと思った、そんなときに限ってランドセルに教科書が見当たらない。教室へ取りに戻ったら、黒板に向いて誰か立っている。あれは、いっしょに帰った親友じゃないか。あいつも忘れ物かよ、気が合うな、と声をかけようとしたけれど、どうも様子がおかしい。そうっと近づくと、手にしたチョークに何やらむにゃむにゃ呟いている。何だ、どうしたんだ。のっぺりと広大な黒板の闇がまるで親友の心を映すスクリーンのようだ。全身に鳥肌が立つ。気がついたときには階段を全力で駆け下りながら叫んでいた。マジか、中島!