押すまいとばてたタマまた立てば問い/マスオ

この家でひとりになれるのなんて、いつ以来だろう。眠る愛猫の横に寝転がる。猫は押しつけがましくしないから好きだ。きっと強い意志で自制しているのに違いない。だからすぐに疲れてしまうのだろう。おや、目を覚ました。大きなあくびをひとつして起き上がったその姿は、お前はいつまでそこでそうしているのだ、と問うているようである。僕はいつまでここでこうしているのだろう。息子はちっとも成長しないし。と思索しているところへ電話。妻からだ。買い物しようと街まで出掛けたが、財布を忘れたのだという。やれやれ、何が愉快なんだか。